疾患と治療に関するQ&A

心臓血管手術が必要と告げられた方に

心臓血管手術と輸血について

1.輸血の問題点

感染
心臓の筋肉(心筋)に必要とされる血液が流れなくなった状態を指します。言って見れば心臓の酸欠状態です。

一般的には、心臓の血管(冠動脈)が動脈硬化により狭くなってしまった状態をいい、運動時に心筋に必要とされる血液が流れなくなり、胸の痛みや圧迫感、場合によっては息切れとして感じ、心電図に変化が出ます。一時的なものであれば狭心症ですが、心筋細胞が一部壊れた状態になってしまうと心筋梗塞です。

冠動脈には、心臓の表面を走る3本の主な枝があります。左の前を走る左前下行枝、後を走る左回旋枝及び右冠動脈です。どの枝が、どういう状態であるのか、主治医の説明をよく聞いて理解してみてください。

輸血による移植片対宿主反応(GVHD:Graft versus Host disease)
輸血は心臓移植・腎臓移植・骨髄移植などと同じく、臓器・組織移植術の一つであり、ABO式の血液型が適合していても免疫反応が生じることがあります(拒絶反応)。この中に輸血による移植片対宿主反応(一般的にGVHDとよばれます)があり、発症すると救命率の低い病態です。

これは輸血した血液のリンパ球が、輸血を受けた患者さんの体内で患者さんの細胞を攻撃する現象ですが、輸血血液を放射線照射する事で予防可能です。GVHDの発生頻度は、輸血パック1つ当たり10万~20万分の1と言われています。

アレルギー・ショック
血液型が合致していても、輸血によりアレルギー反応 (じんま疹・溶血(赤血球が破壊される現象)など)を生じる場合があります。ひどいとショック状態(アナフィラキシーショックと言います)になることもあり得ます。これらアレルギー反応の発生は事前の予測が難しく、発生後の適切な対応が大切です。

2.対処方法

上記のような副作用を避けるために、以下のような対策を当院では採っています。

1.出血量を少なくし、不必要な輸血は行わない →GVHDの発生頻度が下がります。

2.自己血輸血を極力行う →無輸血手術の確率が高くなります。

3.血縁者からの輸血はしない →家族の方からの輸血はGVHDの発生する確率が高くなり危険なことが判っています。

4.新鮮血輸血をさける →今までも極力保存血を使用しました。

5.輸血用血液の放射線照射 →リンパ球を抑制し、GVHDの発症を予防します。


日赤献血血液の輸血をうけた場合は?
前に述べた様に極めて稀なことですが、他家血の輸血後はウィルス感染の可能性を否定できません。厚生省は輸血後、概ね2ヶ月の時点でエイズウィルス・肝炎ウィルスのスクリーニング検査を受けることを勧めています。検査も保険適応になっていますので担当の医師が忘れていたら申し出てください。結果についてはプライバシー厳守で対応させていただきます。陽性結果がでた際はさらに確認のための検査が必要になりますので、ご相談させていただきます。

輸血同意と拒否
輸血は出血した際に必要な治療ですので、手術前にご同意をいただだいております。また、出血による重大で、生命危険が及ぶような合併症を避けるために緊急で輸血を行うことがありますので、ご理解お願い申し上げます。また、何らかの理由にて、輸血を拒否したい場合は、あらかじめ御相談ください。

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