臨床試験(治験)と臨床研究
私たちには循環器専門病院の研究所として、日々の研究の中から循環器診療における新たな知見を世に発信していく使命があります。そのために欠かせないのが臨床試験(治験)をはじめとする臨床研究です。
臨床試験(治験)と臨床研究の関係を簡単に言うと、臨床試験(治験)は臨床研究の一部になります。
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臨床研究
- 疫学研究
- 症例研究
- アンケート調査
臨床試験
治験
当院は、研究所に付属する病院という性格上、通院される患者さんに対して様々な臨床試験(治験)に参加していただくようお願いする機会が多くなります。
このページをご覧になっている方は、すでに臨床試験(治験)に参加のお願いをさせていただいた患者さんかもしれません。以下に、臨床試験(治験)についての説明を掲載いたします。後半には、患者さんよりよく受けるご質問と、それに対する回答を掲載しております。
ご不明な点がありましたら、担当者まで遠慮なくお問い合わせください。
私たちには循環器専門病院の研究所として、日々の研究の中から循環器診療における新たな知見を世に発信していく使命があります。そのために欠かせないのが臨床試験(治験)をはじめとする臨床研究です。
臨床試験(治験)と臨床研究の関係を簡単に言うと、臨床試験(治験)は臨床研究の一部になります。
臨床研究
臨床試験
治験
臨床研究とは、治験を含めた人を対象として行われる医学研究のことで、臨床研究にはいくつかの分類があります。そのなかでも臨床試験は、すでに販売されている薬や医療機器による詳細な治療法や診断法などの確立のために行われる試験で、複数の施設で多くの症例から得られたデータによって導き出された知見はより質が高いとされています。
欧米では積極的に大規模臨床試験が行われ、多くの治療法や診断法などが確立されています。
しかし、日本人と欧米人では人種差があり、そのデータをそのまま日本人に適用することは危険です。日本人にあった治療法や診断法などの確立のためには、皆様のご協力が必要なのです。
臨床研究は国や海外の規制当局が定めたルールに従って実施します。それは研究の科学性を担保することはもとより、何よりも研究に参加する患者さんの安全と権利を保障し、人権を守るために定められたものなのです。その代表が1964年に世界医師会が発表した「ヘルシンキ宣言(人間を対象とする医学研究の倫理的原則)」です。1964年以降、時代の変化に合わせ、適宜修正・追加されています。
日本では、ヘルシンキ宣言等に加え、下記の法令や指針に従って臨床研究を実施しなくてはなりません。
治験 | 医薬品の臨床試験に関する実施の基準 医療機器の臨床試験に関する実施の基準 再生医療等製品の臨床試験に関する実施の基準 |
---|---|
その他の臨床研究 | 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針、臨床研究法など |
当院では、治験および製造販売後臨床試験については治験審査委員会で、その他の臨床研究については倫理委員会で、それぞれの研究の科学性と倫理性を審査しています。
当院では、決められた条件を満たし、「薬や医療機器の候補」の効果が期待できる患者さんには治験への参加を、その他、研究計画書で決められた条件を満たした患者さんに臨床研究への参加をお願いすることがあります。その際には、研究について詳しい説明が書かれた「説明文書」をお渡しします。
医師およびコーディネーターから充分な説明を受けた上で、誰からも強制されることなく、自分の意思で治験またはその他の臨床研究に参加するかどうかを決めて下さい。患者さんは納得するまで臨床研究に関するどんなことでも質問することができます。説明を受けたその場で決めず、説明文書を持ち帰ってご家族やお友達に相談してから決めることもできます。参加をお断りになっても治療上の不利益を受けることはありません。今まで通り、患者さんに適した治療を行います。研究への参加をお決めになられたら、「同意文書」に患者さんと臨床研究を担当する医師が自筆で署名をします。この同意は、いつでも取り消すことができます。
また、これまでに収集したデータ(検査結果や服用している薬などの情報)をカルテから集めて行う研究(後ろ向き研究といいます)については、それぞれの患者さんからご同意をいただいていませんが、患者さんにはデータの使用を拒否する権利があります。研究所のホームページ内に実施中の後ろ向き研究の概要と連絡先が記載されていますので、データの使用を拒否される方は、連絡先までご連絡下さいますようお願いします。
途中で参加を断ることができますか?
はい、断ることができます。
臨床研究への協力にご同意をいただいた後でも、いつでも断ることができますので、担当の医師やコーディネーターにお知らせ下さい。
その場合でもあなたが受ける治療や看護などには何の影響もありませんので、ご安心ください。
臨床研究に参加したら、通常の診療よりも費用がかかりますか?
いいえ、そのようなことはありません。
臨床研究にご参加いただいても、通常の診療と比べて費用が余分にかかることはありません。
治験では保険外併用療養費制度が適用され、通常の診療よりも費用が安くなる場合があります。
費用については説明文書に詳しく書かれることになっていますので、説明を受けられる際に担当の医師やコーディネーターにご質問ください。
また、気になることがありましたら、いつでも研究の担当医師かコーディネーターにお聞きください。
どうして私が選ばれたのでしょうか?
研究にご協力いただきたい方の条件に当てはまっていたからです。
臨床研究では、より正確で質の高い結果を出すため、研究ごとにご協力いただく患者さまの年齢、病気やその状態などについて細かく基準が決められています。
研究へのご協力をお願いするのは、あなたが研究対象としての基準に当てはまっているからなのです。
逆に1つでも当てはまらない条件があると、臨床研究に参加することができません。
もちろん、選ばれたからと言って必ず協力しなくてはいけないということではありません。
臨床研究に参加したら、日常生活で規制がありますか?
基本的には通常の生活をしていただければ問題ありません。
ただし、治験では検査や観察のスケジュール、薬の服用等について細かく決められていますので、日常生活において規制が生じる場合があります。
これらについては、お渡しする説明文書に詳しく書かれていますので、説明を受けられる際に確認し、ご質問等がありましたら担当の医師やコーディネーターに遠慮なくお問い合わせください。
臨床研究といっても、つまりは人体実験ではないのですか?
臨床研究では参加される方の安全と人権を最優先に考えています。
悲しく恥ずべきことですが、過去に医療の場で人権を無視した人体実験が行われたことは事実です。
人体実験と臨床研究の違いは、研究に参加される患者さんの安全と権利が保障され、人権を尊重しているか否かによります。過去の非倫理的行為についての深い反省と絶対に繰り返さないために、臨床研究を行うために守らなければならないルール(ヘルシンキ宣言、臨床試験に関する実施の基準など)が世界的に決められました。現在の臨床研究は、ルールに則って行われており、施設の義務としては、実施する臨床研究が科学的で倫理的であるかについて審査を受ける必要があります。
審査機関で実施を承認された研究だけが実施され、また、研究開始後も定期的な進捗状況や研究計画の変更等も審査機関に報告し、審査を受けています。
その審査の概要や委員に関する情報は、ホームページの研究所のなかで公開しています。
他にお聞きになりたいことは、下記にご連絡をお願い致します。
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