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疾患と治療に関するQ&A

虚血性心疾患

再狭窄とは、なんですか?

バルーン拡張術、ステント留置術が施行された数ヶ月後に、病変部がまた狭くなってしまう現象です。

コロナリーインターベンションの主な合併症である急性冠閉塞(せっかく広げた血管がすぐに(大抵は数時間以内)閉塞してしまう現象)はステントの普及によってかなりの程度克服されました。また、ステント特有の合併症として心配された亜急性血栓性閉塞(術後2週間くらいの間にステントをいれた場所に血栓が付着して血管が閉塞してしまう現象(SATと呼ばれる)も薬の工夫によって滅多に起こらなくなりました。

こうして現在ではコロナリーインターベンションの初期成功率、つまりとりあえず手技がうまくいき、無事退院できる確率は通常の病変であれば、ほぼ100%に近くなっております。しかし、重大な問題が残っています。どの方法をとるにせよ、カテーテルによる冠動脈治療は血管の内側に傷をつけることを避けられません。そうすると、血管にはその傷を修復しようとする機転が働きます。その結果術後数ヶ月以内に、せっかく広がった冠動脈が術前と同じ、ときによっては術前よりひどい狭窄を起こすことがあるのです。この現象を“再狭窄”(restenosis)といいます。再狭窄の起こるメカニズムははっきりとはわかっていませんが、バルーンなどによって引き伸ばされた血管が(ちょうど引っ張られたゴムのように)また縮んでしまうリコイル(recoil)という現象や傷ついた血管の壁の中の平滑筋をはじめとする細胞の増殖血管の再構築(remodeling)という現象などが複雑にからみあって発生すると考えられています。

術後数週から数ヶ月のあいだに完成し、50%以上の狭窄になってしまうことを再狭窄と考えると、バルーンによる拡張に成功した血管の4割、ステントを留置した2割くらいに起こるとされていました。そこで最近登場したのが薬剤溶出性ステントです。このステントは、通常のステントに免疫抑制剤がコーティングされており、ステント再狭窄の原因となるステント内新生内膜の増殖を抑制します。日本においても2004年8月から使用と可能となっており、当院でも現在数多くの症例に対し、このステントを留置しております。再狭窄率は3-7%と言われています。現在では、ほとんどの症例でこの薬剤溶出ステントが留置されています。

 

インターベンションの直後にどんなにきれいに見えている血管でも再狭窄は起こりうるので、術前と同じような症状がでてきたら、すぐに主治医に連絡すること 症状がなくとも決まった時期に冠動脈造影検査を受けて再狭窄の有無を確認すること(運動負荷テストやRI検査で代用することもできないわけではありませんが、その診断能は確実ではありません)です。


安静にしていれば再狭窄が起きにくくなるわけではありませんから、術後2週間くらいは過激な運動は避けるとしても、そこから先は普通の日常生活を送ればいいのです。とにかく、症状が再発してきたら甘く考えずに、できるだけ早く病院と連絡をとることがいちばん重要です。次の外来予定日まで我慢しているうちに心筋梗塞をおこしてしまった、というような残念なケースを、わたしたちも何度か経験しています。

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