ステントとは、どんなものですか?
金属のチューブのようなもので、バルーンで血管内を拡張後に留置されます。血管がまた狭くならないように支える役割をします。
動脈硬化巣の成分は皆同じではありませんから、同一の場所でも物理的な固さが極端に不均一になることもあります。そのためバルーンによる拡張では血管の一部に亀裂が生ずることがあります。これを“解離”といいます。小さい解離であれば問題ありませんが、大きな解離は血管を閉塞してしまうことがあります。この現象は“急性冠閉塞”と呼ばれ、バルーン拡張術後の数パーセントに発生する重大な合併症として恐れられてきました。この急性冠閉塞を防ぐために開発されたのがステントです。
つまり、バルーンで大きな亀裂ができてしまったときに、筒状の金属を血管の内側にいれて、それによって亀裂を支える、という方法です。その後、亀裂ができなくともステントを使って大きな内宮面積を確保しておけば、“再狭窄”という急性冠閉塞とともにバルーン治療におけるもうひとつの重大問題も回避できる、という考えが生まれ、実際いくつかの大規模研究によってバルーンだけによる治療よりステントのほうが、再狭窄が少ないことが証明されるに至ってステントは爆発的に普及したのです。
さらに近年では、ステント表面に再狭窄予防の薬(全身に影響の出ない程度の極少量の免疫抑制剤)が塗布された薬剤溶出性ステントが使われており、再狭窄は5%程度に抑えられており、全コロナリーインターベンションの大部分をステント植え込みが占めております。
実際のステントを見てみましょう。
これはステントが、拡張された状態です。ステント構造はさまざまな種類が存在し、直線的なもの、屈曲に適したしなやかな形態のもの、病変から分岐する血管へのアプローチに適したもの、などがあり、それらの材質はステンレス・コバルト・プラチナなどが主流です。これが通常のバルーンカテーテル上に閉じた状態でマウントされており、この部分を狭窄部まで押し進め、そこでバルーンをふくらませると上の写真のようになります。バルーンがしっかりふくらんだのを確かめてからバルーンをすぼめて引き抜きます。そうすると狭窄部はしっかり広げられたうえ、内側からステントで支えられることになります。
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