どんどん暑くなるこれからの季節。
脱水症を防ぐためにも、水分摂取や塩分摂取が重要なポイントです。
しかし、食事制限のある心不全の方の中では、どんな対応をすべきか判断が難しいという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、心不全の方に向けた脱水対策を含めた夏の過ごし方のポイントをご紹介します!
無自覚に起こっている脱水症状
「喉が渇いたな」
そう感じていなくとも、身体の中では脱水症状が起こっている可能性があります。
夜9時以降食事を取らずに健康診断に来た方のうち、約9割は脱水状態になっているという研究結果があります。これほど、就寝中は脱水症状を起こしやすいのですね。
脱水が起きている状態で運動をしたり汗をかいたりすると、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす危険性があります。
季節を問わず、朝はコップ一杯の水分を摂ることをおすすめします。
また、利尿剤を新たに開始した方や増量したばかりの方は、脱水症状にならないように特に注意しましょう。
夏の脱水対策のポイント
これから蒸し暑い季節になりますが、どのような脱水対策をするといいのでしょうか?
夏の脱水対策のポイントを3点におまとめしました。
1. 食事をきちんととる
水やお茶などの飲み物を除く「食べ物(固形物)」から、私たちは普段どれだけ水分を摂取しているかご存知ですか?
実は1Lもの水分を摂取しているのです。
また、食事を抜くと摂取する水分量が減ってしまうだけでなく、血液に水分を引き留めるのに必要な栄養が不足することにも繋がります。
塩分摂取量を減らすために食事を抜く、という行為はNG。
脱水症状を起こさないためにも1日3食、しっかり食事を摂取しましょう。
2. 運動中の発汗量に合わせた水分摂取
運動時は、発汗量の約1.5倍もの水分摂取が必要です。
気温が25度の快適な環境下で1時間のウォーキングをすると、約500mlもの汗をかきます。
これが真夏に向けて気温が上がると汗の量はさらに増えます。
じんわり汗ばんだな、と思っても、気付かない内に水分を失っている可能性が高いのです。
ちょっとの運動だから、と放っておかずに運動量に合わせて水分を摂取することが重要です。
3. 体調に合わせて水分の内容を変える
熱中症の予防として、一般的には経口補水液が有効と考えられています。
汗をかくことで喪失したイオンやナトリウムを補えるだけでなく、より身体に浸透しやすいように成分が調整されおり、乾いた身体を素早く潤してくれるためです。
ただ、心不全の方や腎機能が悪い方は、普段から塩分制限が必要なため、経口補水液は避けた方がいいでしょう。
経口補水液以外にも、体内から失われた栄養分を補給する方法はあります。
牛乳や麦茶、固形物などをお水と組み合わせることで、発汗によって失われたイオンや栄養素を補うことができます。
ご自身の体調に合わせて、また主治医との相談のもとできちんとした対応を行い、夏の熱中症を防ぎましょう。
夏のお風呂に要注意?
汗をかく夏場は、お風呂に入る回数が増える方も多いかもしれません。
冬場の入浴に注意する方が多い一方、夏場の入浴は甘くみられがちです。しかし、脱水状態の身体での熱いお湯や長時間の入浴には注意が必要です。(「暑い日に熱い湯に入るのが最高!」という方がたまにいらっしゃいます)
入浴自体は、お湯につかることで血管が拡がり心臓が楽になるため、特に問題はないとされていますが、お湯の温度が高すぎたり入浴時間が長すぎたりすると心臓に余計な負担がかかってしまいます。
- 温度は40~41度ほど
- お湯の高さは胸までの半身浴
- 入浴時間は10分程度
- 入浴前後の水分補給はしっかりと
という点に注意し、心臓に優しい入浴方法でリラックスした時間を過ごすようにしてください。
あれ…?と思ったら主治医に相談を
夏は体調変化を起こしやすい季節です。
無自覚で脱水症状や熱中症を引き起こしていたり心臓に負担をかけていたりする危険があります。
少しでも違和感を覚えたときには、迷わず主治医にご相談ください。
当院には専門外来
「息切れ外来」「心不全予防外来」があります。
お気軽にご相談ください。