「脈が遅いと指摘を受けたけど大丈夫かな?」
「脈が遅いと長生きすると聞いたことがあるけど、脈が遅いのは悪いこと?」
今回はこのような不安をお持ちの方に役立つ情報をお届けします。
結論から言いますと、脈が遅いことは一概に悪いとは言えませんが、明らかな自覚症状があったり、生活に支障をきたしている場合は、しっかりと受診し、そのうえで治療を進めるべきと言えるでしょう。
本記事では、脈の速さと寿命の関係性を始め、脈が遅いことで起こる症状や脈が遅くなりやすい人の特徴などを解説します。
健康診断などで脈が遅いと指摘されたことのある人は、本記事を読み危険性などをしっかりと理解したうえで必要に応じて医療機関を受診しましょう。
なお脈が遅く、1分間に50回未満である場合を「徐脈」と言います。
本記事でも度々登場しますので、ぜひ覚えておいてください。
脈が遅いと長生きはホント?心拍数と寿命の関係
まずは、脈拍の速度と寿命の関係について説明します。
「一生のうち、心臓が拍動する回数は決まっていて、脈が速い人は早死に、遅い人は長生きする」
このようなことを聞いたことがあるでしょうか?
ヒトを含め、多くの生き物の一生涯の心拍数はある程度決まっており、心拍が速い動物は短命で、心拍が遅い動物は長寿という法則はある程度存在するとされる調査結果もあるようです。
そのためこのようなことが、言われるようになったと考えられますが、この法則が人間にも当てはまるという公式な研究結果は現時点では存在しません。
また、運動習慣の有無や食事の内容などによっても寿命は変わります。
そのため、人間の場合は、あまりに個人差がありすぎて、脈が遅いから長生きすると断定することは難しいと言えるでしょう。
脈が遅い人に起こる症状
続いて、脈が遅いことで起こる症状について解説します。
ここからは、徐脈の症状や治療法などを中心に解説しますので、ご自身で自覚している症状がないか確認してみましょう。
よくある自覚症状としては、次の5つが挙げられることが多いです。
- 息切れ
- だるさ
- 足のむくみ
- めまい
- 失神
日常生活に支障をきたし始めるようであれば、治療の対象になり得ます。
特に運転をされる方で失神やめまいを起こす場合は危険度が高い状態ですから、早めに医療機関の受診を検討することをおすすめします。
徐脈が起こる原因
次に脈が遅くなる原因について説明します。
人の心臓は右心房、右心室、左心房、左心室の4つ部屋でできていて、微弱な電気信号が発生することで血液を循環させるポンプの役割を果たしています。
電気信号は洞結節と呼ばれるところから発生しており、ペースメーカーのような役割を担っています。
そして、洞結節から発生した電気信号が房室結節という場所に到達することで心室が収縮する仕組みです。
心臓の収縮に大きく関わる洞結節と心房結節に異常が起きると、脈が遅くなる「徐脈」と呼ばれる状態になる可能性が生じます。
徐脈は洞不全症候群と房室ブロックの2種類が存在し、特に房室ブロックは突然死の危険性があるとされています。
徐脈になりやすい人
徐脈の要因は様々ですが、年齢や身体の状態、服用している薬の種類などによって徐脈になりやすい状態になる可能性もあります。
具体的には次の4つのようなことが要因として考えられるでしょう。
- 加齢
- 動脈硬化
- 甲状腺の病気
- 薬の副作用など
薬は、降圧剤・抗うつ薬・抗不整脈薬などが挙げられますが、必ず原因になり得るわけではありませんから、不安な場合は、担当医に相談をして判断を仰いでみると良いでしょう。
【脈が遅いと言われたら?】治療すべき症状と徐脈の治療法
最後に、徐脈の治療法についてお伝えします。
洞機能不全症候群や心房ブロックと診断された場合は徐脈性不整脈と呼ばれ、治療が必要な状態です。
先ほども少し解説しましたが、失神を起こす場合や1分間の脈拍数が40以下の場合はペースメーカーを検討することもあります。
一方で、症状があり、なかなか診断がつかない場合には、ホルター心電図(24時間の心電図を記録できるもの)を使用したり、検査入院をしたりして診断を確定的なものにしていきます。
まとめ
本記事では、脈拍数と寿命の関係性をはじめ、脈が遅いことで起きる症状や治療すべき症状について解説しました。
脈が遅いと言われても、自覚症状がない場合は、医療機関の受診を先送りしてしまうことがあるかもしれませんが、めまいや失神等の自覚症状はいつ現れるかわかりません。
脈が遅い、徐脈であると指摘を受けた場合には、危険な状態になってしまう前に、一度医療機関を受診し、すぐに治療する必要があるか否かを確かめるべきと言えるでしょう。