「日常生活ですぐに息切れをする…」
「診察を受けても問題ないと言われる…」
超高齢社会を迎え、息切れの症状でお悩みの方が多くなりました。
症状の原因を特定することは治療の上で重要なことですが、息切れの原因を特定することは意外と難しいものです。
今回は、そんな息切れの原因と検査・治療方法をご紹介いたします。
息切れの原因の一つは心不全
息切れの原因は、大きく3つに分けられます。
- 心不全によるもの
- 呼吸器疾患によるもの
- 精神的なもの
そのなかでも「自分の息切れの原因が心不全」であると理解している方は少なく、検査を受けるまで気づかない方もいらっしゃいます。
「息切れ」と「心不全」
関係ないように感じますが、心不全からくる息切れは、血液の巡りによって引き起こされます。
心不全で息切れが起こる理由
心臓のポンプ機能が低下することで血液の巡りが悪くなり、血が滞ってしまいます。
肺でうっ滞が起こると血液中の水分が肺に染み出してしまい、息苦しさを覚える・咳が止まらなくなるなどの症状が現れます。
では、息切れの検査はどのように行うのでしょうか?
検査方法についてご紹介いたします。
息切れの検査方法について
心肺運動負荷検査(CPX)と運動負荷心エコー検査を用いて、心臓だけでなく肺も合わせて検査を行い、息切れの原因と症状を把握します。また、その後のリハビリの運動目安についても診断を行います。
心肺運動負荷検査(CPX)とは
心肺運動負荷検査(CPX)では、自転車エルゴメータ、もしくはトレッドミルで心臓と肺に負荷をかけながら、顔に装着したマスクをもちいて呼気ガスの分析を行います。
これにより、運動中の心臓だけでなく肺も検査することができます。
運動中の心臓にとって最も重要な役割を果たす器官は、酸素を運ぶ肺です。
心臓と肺をあわせて検査することで、より詳細なデータが得られ正確な異常の把握ができます。
心不全を有する方は、心不全の重症度も確認できます。
心不全だけではなく、高血圧や糖尿病などで心臓リハビリテーションを行う方にとっては、患者さん一人ひとりの病状に応じた「日常行うべき適度な運動の強さと量」の適切な設定が可能です。
検査には30〜50分ほどかかります。
運動負荷心エコー検査とは
まず「心エコー検査」とは、心臓や血管の形、血液の流れを確認するための検査です。心臓の大きさや動き、筋肉や弁の状態、血液の流れを観察し、心臓のポンプ機能が正常に働いているかを判断するために使用します。
診断のみならず、治療方法の選択などにも役立つ検査です。
運動負荷心エコーとは、上の心エコー検査に加えて運動を行います。運動をすることで心臓に負担をかけ、安静時には確認が難しい心臓の動きや血流を調べることができる検査です。
また、呼気ガス分析を同時に行うことにより、より詳細に息切れの原因を突き詰めることが出来ます。
上半身の服を脱ぎ、専用の検査台に仰向けになり、自転車のペダルを漕ぐ運動をします。
超音波で安静時と運動時の心臓と血液の動きを調べていきます。
運動時間は15分ほどで終了し、その後安静時まで落ち着けば検査が終了します。
この2つの検査によって息切れを起こしている心臓はどんな状態か、どの程度の運動でリハビリを行うべきかを把握することができます。
心臓リハビリテーション(運動療法)で息切れを改善
では、息切れの治療方法はどのようなものがあるのでしょうか?
代表的なものに心臓リハビリテーションがあります。
心臓リハビリテーションは、運動療法を中心に、心臓や身体の機能の回復と発症後・手術後の経過をよりよいものにすることを目的として行う治療です。
最近では、回復の見通しの良くない拡張型心筋症などが原因で心不全の症状がでている患者さんに対して心臓リハビリテーションを行ったところ、病状の改善に効果があったという例が数多く報告されています。
心臓リハビリテーションでは、一人ひとりに合わせて息切れが出現しない程度の運動強度で行います。
楽に感じる程度からややきついと感じる程度までの範囲で行うため、継続しやすい運動療法です。
身近に存在する息切れ
息切れの原因が分からずどうしたらいいか分からない、日常生活を送ることすら難しくなってきた、という方も多くいらっしゃいます。
それだけ、身近なものの原因特定が難しい症状です。
風邪や喘息の症状と思って呼吸器科や耳鼻咽喉科へ通っている方は、一度循環器科を受診されてみると原因究明のきっかけになるかもしれません。