あなたは、睡眠時に呼吸がとまることがありますか?
「いいえ」と答えた方の中にも、実は無呼吸になっている方がいるかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、心臓病を引き起こす危険性がある病気です。
本記事では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)がどのようにして心臓病を引き起こすかについて解説し、予防のためにできることを紹介します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは、睡眠中に10秒以上の呼吸停止を何度も繰り返す病気です。
※無呼吸:10秒以上の呼吸の停止をいいます。
主な症状として以下のようなものがあります。
- 日中の強い眠気
- 睡眠中に息苦しさを感じる
- 起床時の頭痛
- 熟睡感が得られない
- 夜中に何度も目が覚めてしまう
これらの症状は、睡眠中に何度も呼吸が停止するために低酸素状態になり、十分な休息を取れなくなることに起因します。
また、呼吸停止は意識のない間に起こっているため、自分自身で自覚していないケースもあります。
よって、症状はあっても、単なる疲れだと思ってSASだと気づかず、放置していることも多いです。
SASになりやすい原因の一つは「肥満」です。
肥満の人は、軟口蓋や喉にも脂肪がつき、それによって上気道を狭め、SASになる可能性が高くなります。
そのほか、顎が小さい、喉が狭いといった骨格に特徴のある方や鼻炎の方も、SASになる可能性があります。
SASが心臓病を引き起こす理由
SASが心臓病を引き起こす理由として、以下の3つが挙げられます。
高血圧になるため
SASでは低酸素状態のため交感神経が刺激されます。
そうすると心臓の拍動が強まり、同時に血管も収縮して血圧が高くなります。
高血圧が動脈硬化へ発展すると、心臓病を発症するリスクが大きくなります。
実際に、高血圧の方は正常血圧の方に比べ、SASが多いことが知られています。
心臓に大きな負担がかかるため
SASで低酸素状態になると、心臓は酸素を取り入れようとして急激に心拍数を上げます。
このとき、眠っているのに激しい運動をしたような状態になり、心臓には負担がかかることになります。
心臓に負担がかかった状態が長く続くと、心臓の機能が低下する可能性があります。
酸化ストレスにさらされるため
「低酸素状態」と呼吸が再開された後の「正常な酸素状態」を周期的に繰り返していると、体内の細胞を酸化させてしまう「酸化ストレス」にさらされ、血管が傷つきやすくなります。
その結果、動脈硬化を進行させ、心臓病を発症する危険性を高めることになります。
SASが引き起こす心臓病の種類
先述した要因が複合的に影響することで、心臓病を引き起こす危険性が高まります。
SASが引き起こす心臓病の種類には、不整脈や虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、心不全があります。
不整脈
SASの患者さんを観察した結果、その約50%に何らかの不整脈が見られたという研究が報告されています。
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
SASによって動脈硬化が進行し、その結果、狭心症や心筋梗塞を引き起こすことがあります。
これらの心臓病は、場合によっては突然死を招きます。
心不全
SASによって心臓への負担が大きくなると、心不全の状態になるリスクがあります。
また、SASの状態が続くと、さらに心不全を悪化させてしまいます。
これらの心臓病は、SASの治療によって改善されたりします。
SASを予防するために
SASの予防のためにできることを挙げてみました。
規則正しい生活と適度な運動をする
SASの大きな原因の一つは肥満であるため、適正体重を維持していくことが重要です。
食生活の見直しや、ウォーキングなどの適度な運動を心がけましょう。
過度な飲酒をやめ、寝酒は控える
アルコールは上気道の筋肉の緊張を弛緩させるため、上気道が狭くなり、無呼吸症に陥るリスクが高まります。
飲酒はほどほどにし、就寝前の飲酒は控えるようにしましょう。
禁煙する
タバコの煙は気道系に炎症をもたらして上気道の通気性に悪影響を及ぼします。
喫煙者は非喫煙者に比べてSASになるリスクが高いようです。
睡眠薬をなるべく控える
睡眠薬には上気道の筋肉の緊張を弛緩させる作用があるため、上気道の通気性に悪影響を及ぼします。 睡眠薬が必要な方は、医師に相談して処方薬を内服するようにしましょう。
口呼吸から鼻呼吸へ変える
口呼吸の場合、鼻呼吸の時よりも咽頭が狭くなるため上気道が閉塞しやすい状態になります。また、 鼻を通した呼吸には異物除去や免疫力の向上といった効果も期待できるので、普段から鼻呼吸を習慣づけましょう。
寝る姿勢を変える
仰向けで寝ると、重力によって舌根が気道に沈み込みやすくなり、気道が狭くなります。 SASの症状が軽い患者さんの場合、横向きに寝ることで症状が改善することがあります。
SASの疑いがある場合は検査に行きましょう
本記事では、SASが心臓病を引き起こす理由と予防策について紹介しました。
SASは放置すると生命の危険に及ぶこともある病気です。
SASの疑いがある場合は、まずは医療機関で検査を受けましょう。