行楽シーズンを迎え、帰省や旅行に出かける方も多くなってきました。
「心不全を患っているから旅行が不安…」
「心疾患があるともう遠くへ移動はできないの?」
注意事項と気を付けるべきポイントを抑えていると、心疾患の持病をお持ちでも遠方への旅行は可能です。
行楽シーズンを楽しく過ごすために、旅行前に確認しておきましょう。
旅行や出張について
一般的な、車や新幹線などの陸路移動での国内旅行や国内出張でしたら、問題ありません。
長距離の移動になると狭い空間に閉じ込められた状態が続き閉塞感を覚えてしまう可能性があるため、適度な休憩を挟みながら目的地を目指してくださいね。
飛行機での移動について
国内移動の距離でしたら問題ありませんが、中等症以上の症状をお持ちの方は担当医との相談が必要です。
地上と比べて飛行機内は気圧が低く、酸素濃度も約70%程度にまで下がります。
そのため、酸素を全身に送るポンプ機能が低下している心不全患者さんは、より酸素を取り込みづらくなり、心臓への負担が大きくなってしまいます。
中等症には該当しない方も、乗り継ぎ便や海外旅行などで長時間のフライトとなる際には注意が必要です。
ご自身の症状と体調を踏まえた上で担当医に相談のもと飛行機を利用しましょう。
旅行先でのレクレーションについて
心臓に過度な負担がかかるようなものでなければ、基本的なレクレーションに問題はありません。
酸素が薄くなる高い山でない限りは、登山も大丈夫です。
スポーツの注意点
旅行先で朝からゴルフへ。
そんな過ごし方をする方も多いと思われます。
朝は水分が不足していることが多く、早朝から急に動き心臓に負担をかけることで症状が悪化する危険があります。
起床直後の運動を避け、しっかり準備体操を行った上でスポーツを楽しみましょう。
行楽地での注意点
長期休暇で、お孫さんと遊園地へ行かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
心臓に負担がかかる遊園地の乗り物には「心臓の弱い方はお控えください」などの警告文が掲示されています。
ジェットコースターや急発進・急停止の激しい乗り物だけでなく、観覧車などの高所で狭く閉鎖された空間など、人によってはストレスや不安から心臓に負担をかけてしまう方もいらっしゃいます。
ご自身の体調に合わせたペースで楽しむことが重要です。
また、行楽地ではつい歩き続けてしまうことが多く、無意識のうちに水分不足・休憩不足になりがちです。
時間を確認しながら、定期的に休憩を挟みながら楽しい1日を過ごしてくださいね。
旅行あるある?気を付けるポイント
睡眠時間に注意!
旅行時は遅寝早起きをしてしまう方が多くいらっしゃいます。
翌朝は早くから行動するのについつい寝る時間が遅くなってしまう…。
そんな経験はありませんか?
睡眠時間が不足すると身体の疲れが取れないまま活動してしまうことに繋がり、心臓に大きく負担をかけてしまいます。
朝もしっかりご飯を食べて水分を摂取して、少し体を動かし活性化した状態で1日の活動に移る方が、ギリギリまで寝て急いで起きて活動を始めるよりも心臓への負担は少なくなります。
朝、余裕を持って過ごすためにも、早めの就寝を心がけましょう。
食事に注意!
普段と違う食事、特に外食中心となりがちの旅行中では、つい塩分を取りすぎてしまう危険があります。
塩分量に注意しながら、食事内容・食事量にも気を配ることが重要です。
飛行機の機内食や宿泊施設の食事内容は、事前のお問い合わせで減塩メニューに対応をしてくれることも多いです。
不安な方は、旅行前のご連絡をおすすめします。
薬の飲み忘れに注意!
「あれ?薬って飲んだっけ?」
旅行中はつい薬を飲み忘れたり、飲んだか飲んでないかを忘れてしまったりと、薬への意識が薄れてしまいます。
摂取後はメモを残す・1日毎に分けてパウチに用意する・飲んだことを人に報告するなど、ひと工夫を行って飲み忘れを防ぎましょう。
安心して旅行を楽しむために
「もし症状が悪化したら…」
旅行時などのいつもと違う環境では、不安からストレスを大きく感じてしまう可能性があります。
まずは旅行に関するストレスを減らし、穏やかな気持ちで過ごすことが症状を安定させるための第一歩です。
そのためにも、万全の準備を行って事前に対策をしておきましょう。
もしもの準備
旅行前には、担当医に相談のもと
- 旅行先で症状が悪化した時の対応方法
- 旅行先でかかれる病院
を確認しましょう。
症状や治療内容によっては、心電図のコピーや体内機器について説明をしたカードや、いざというときの診断書などが必要となるケースがあります。
「私は中等症じゃないから言わなくてもいいか…」
そんなことは思わずに、安全・安心に旅行を楽しむために、旅行前には必ず担当医にご相談ください。