夏は脱水症状による体調不良が多くなる季節。
しかし「水分の摂りすぎは危ないと聞いた」「水分と一緒に塩分摂取を勧められるけど、塩分は控えるように言われている」など、不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
今回は、慢性心不全を抱えている方や高血圧の方へ、水分・塩分過多の危険と夏の過ごし方のポイントについてご案内します。
「一度に大量」の水分摂取は控えましょう
「心不全の方は水分制限が必要」と聞いたことはありませんか?
しかし、症状が軽い方や医師のもとで管理ができている方などは水分制限は不要であり、大多数の方は水分摂取を控える必要はありません。
夏は発汗や皮膚からの蒸発により、水分が多く失われてしまい脱水症状・熱中症を引き起こす危険性が高い季節です。
夏の怖い病気を防ぐためにも、水分摂取は重要な予防策です。
夏に注意すべきは、水分を「一度に大量に」摂取しないことです。
一度に大量の水分を取り込むと、体液が一気に増加するため心不全が悪化する原因となります。
「今日1日あまり水を飲んでいなかったから」とガブ飲みをしてしまうと逆効果!
きちんと時間を決めて、定期的に定量の水分を摂取しましょう。
ただし、重症の心不全の方、心不全の管理が難しい方、腎機能が低下している方などは、水分制限が必要となる可能性があります。
担当医に相談の上、適切な水分量を確認しておく必要があります。
「塩分摂取量」はいつも通りでOK
「水分を摂るだけではダメ」と経口補水液やスポーツドリンクの摂取をよく推奨されています。
しかし、心不全の方や高血圧の方などで塩分摂取量を制限されている方は、摂取量を守ることが重要です。
塩分摂取量が増えると、血圧が上昇し血液量も増え、心臓に負荷がかかります。
そのため、現在治療中の方や担当医から減塩を勧められている方は、意識的に塩分摂取量を増やす必要はありません。
発汗作用で水分とともに失われるミネラル。
不安に思われるかもしれませんが、余分な塩分摂取は不要です。
これまで通りの生活を続け、夏の暑さに負けない体づくりを目指しましょう。
夏は「つい」塩分量が多くなってしまう季節
刺激の強い辛い料理や、濃い味付け、行楽シーズンでの外食。
夏はついつい、塩分摂取量が多くなってしまう季節です。
自分では気をつけていても、「汗をかいたからミネラルを」と塩飴や塩タブレットなどをご好意でいただく機会もあるかもしれません。
周囲の理解を得るためにも「減塩中なので大丈夫です」と一言お伝えして、きちんとお断りを入れることが重要です。
20代と比べると、60代は塩味を感じるのに4倍の塩分が必要になると言われています。
自分では思っていなくても実はその塩味には多くの塩分が含まれているかもしれません。
目分量や味感覚に頼らない減塩を心がけてくださいね。
水分・塩分に気をつけて夏を乗り切ろう!
塩分摂取量はこれまで通り、水分はこまめに多めに摂取をして、夏に多い脱水症状や熱中症を未然に防ぎましょう。
また、心不全の方・高血圧の方でも、症状や治療内容によっては水分制限が必要な場合があります。
ご自身の症状と治療についてもしっかり把握をし、医師と相談の元で1日に摂取する水分量・摂取方法を決めて夏に備えましょう。