「心電図検査で異常があったけど、医師からは心配いらないと言われた」
このような方は少なくありません。
不整脈には、健康な人でも起きる「期外収縮」というタイプがあります。
不整脈で受診される方の約9割が期外収縮にあたるといわれています。
期外収縮は、ほとんどの場合心配いりませんが、「本当に放置していていいの?」と思われる方も多いでしょう。
本記事では、期外収縮の原因・危険性とつきあい方について解説します。
期外収縮とは
不整脈の中でも、正常な拍動の間に時々不規則な拍動が現れる「脈がとぶ」タイプが期外収縮です。
期外収縮は、脈をとると「トン・ト・トン・トン・トン」というように脈がとんで不規則なリズムになります。
主な症状としては以下が挙げられます。
- 胸がドキドキする(動悸)
- 胸が一瞬つまずく
- 胸がつまる
- 胸に空気が入ったような感じ
期外収縮は、「健康な成人の98.7%に期外収縮が見つかった」という研究もあるほど、ありふれた不整脈です。
多くの人は自分の心臓で期外収縮が起こっていることには気づきません。
気付いても、一瞬だけ脈が抜ける、一瞬胸がつかえる感じがする、といった程度です。
また、期外収縮と診断された患者の10年間の生存率を追跡調査した結果、正常な人の生存率と同等というデータもあります。
期外収縮は命に関わることはほとんどないため、症状があっても治療をしないことの方が多いです。
期外収縮の原因
期外収縮の原因は大きく2つあり、「心臓の病気が原因かどうか」で分かれます。
1.自律神経の異常(心配不要)
期外収縮は、自律神経のバランスの崩れたときに起こることが多いです。
自律神経の乱れの原因は次のようなものがあります。
- アルコールのとりすぎ
- コーヒーなど、カフェインを含む飲料のとりすぎ
- 睡眠不足 ・疲労 ・心身のストレス
これらの理由で起こる期外収縮は、ほとんどの場合心配ありません。
2.心臓の病気が原因(注意が必要!)
期外収縮は、心筋梗塞、心筋症、心不全、心臓弁膜症など心臓の病気が原因で起きることもあります。
この場合は注意が必要です。
上記のような心臓の病気があれば治療する必要があります。
診察や心電図、心臓超音波検査などの検査を受けることで、心臓の病気が原因になっているかどうか知ることができます。
心臓に期外収縮以外の異常がない場合には、治療は不要であると考えられています。
普段の生活や食生活でも制限はありません。
診断のたびに期外収縮二連発、三連発と診断される場合も同様に心配いりません。
期外収縮の多くは無害のものですが、中には心臓の病気が関連している場合もありますので、医療機関を受診して他の心臓の病気がないかを診断してもらうことをおすすめします。
心臓の病気が見つかった場合は治療していきましょう。
心配不要といわれた期外収縮とのつきあい方
心配のない期外収縮といっても、不整脈があるということが不安やストレスに感じる方もいるでしょう。
その不安やストレスによって睡眠不足が起こり、また期外収縮が出る、というような悪循環が起こることもあります。
まずは気にしすぎないこと
期外収縮の悪循環を断ち切るには、「気にしすぎない」ことが大切です。
楽しいことや気晴らしをして不安感を忘れ、ストレスにならないようにしましょう。
なお、期外収縮は睡眠不足の翌日などに出やすいことから、こうした脈の乱れを健康の指標と考え、自分の生活を見直すきっかけにするとよいでしょう。
どうしても期外収縮をなくしたい場合
生活指導などを行っても、どうしても耐えられないという場合には、期外収縮の治療が行われています。
期外収縮が発生している部位によりますが、カテーテルが到達できる部位が発生源の場合には、カテーテルアブレーション治療によって期外収縮の発生を減らすことができます。
(カテーテルアブレーションは、カテーテルという細い管を足の付け根の静脈から送り込み、不整脈が発生する部位にその先端を当て、高周波電流で焼く治療です。)
ただし、期外収縮は健康な人でも持っている不整脈なので、完全に100%なくすことはできません。
検査を受けることが安心につながります
本記事では、心臓の病気が原因でない期外収縮は、基本的に治療が不要であることを説明しました。
ひとたび期外収縮に気付いてしまうと、不安にとらわれてしまう人も少なくありません。
多くの方は、医師から「心配いりません」と聞くと安心して不安から抜け出すことができます。
よって、検査を受けることが安心するための最短コースといえるでしょう。
不整脈が気になる方は、まずは専門の医療機関にご相談ください。