今回の記事では、女性の閉経と心臓病の関係性について解説します。
女性は、更年期や閉経を迎える年齢に差し掛かると、心臓病の発症率が急増する傾向がありますが、これには明確な理由があります。
本記事では、その理由を解説し、医療機関を受診すべき症状などについても説明していますので「最近気になる症状がある」と感じる方は、ぜひ参考にしてください。
更年期や閉経が近い女性の心臓病が増加する理由
女性において、更年期や閉経が近づく頃に心臓病が急増するのは、エストロゲン(女性ホルモン)が減少するのが原因です。
エストロゲンには、血管を広げる作用や抗酸化作用、コレステロールの代謝をよくする作用など、血管や心臓を守ってくれる働きを担っています。
閉経によってエストロゲン(女性ホルモン)が減少し血管や心臓を守る効果が薄れることで、心臓病の発症率が上がってしまうのです。
特に、心筋梗塞や狭心症など虚血性心疾患と呼ばれる心臓病が多くなる傾向があります。
女性の心臓病は診断が難しい?
女性は、狭心症などで心臓に異常がある場合でも、みぞおちや肩などの一見心臓とは関係のないような箇所に痛みを感じることが多く、心臓の病気であることに気づきにくい傾向があります。
また、カテーテルでもわかりにくいほど微細な血管の血流障害、微小血管狭心症が多いのも診断をわかりにくくする要因の1つです。
では、微小血管狭心症とはどんな病気のことでしょうか?
微小血管狭心症とは?
微小血管狭心症は、命に関わるほどの病気ではないと言われることが多い病気です。
しかし、狭心症などの診断をわかりにくくしてしまうという点では、気をつけるべき症状です。
微小血管狭心症
- 患者は更年期女性が多い
- 胸痛が30分程度続く
- 運動時・安静時ともに起こる
- みぞおちや肩に痛みが出ることもある
微小血管狭心症は、更年期の女性が発症しやすい病気と紹介されていることが多いですが、実は更年期女性のうち、微小血管狭心症になる人は1割程度と言われています。
一般的な狭心症の特徴も併せて記載しておきますので、気になる症状がある場合は、どちらに当てはまっているかの確認にお役立てください。
発作時の痛みの継続時間などに着目するとご自身の症状がどちらに近いかがわかりやすいですよ。
一般的な狭心症の特徴
- 中高年男性に多い
- 動いている時に胸の痛みがある
- 痛みは5分~10分程度
診断では、胸痛などの発作が起こった際の心電図をみて判断します。
しかしながら、微小血管狭心症を完全に治すのは難しいです。
胸痛の予防と生活習慣の見直しを進めつつ、高血圧や脂質異常症などの動脈硬化の危険因子を抱えている方は、医師の診断の元治療や改善を行うことが重要です。
不安な方は医療機関へ
女性は、閉経を機に身体が大きく変化します。
狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患と呼ばれる心臓病の発症率が増えてしまうことをご自身で把握しておき、予防的な行動を心がけることが大切です。
40代後半〜50代の女性は、一度ご自身の生活習慣の見直しを行い、より健康的な生活を意識しましょう。
また、定期的に健康診断を受け、自覚のない身体の異常がないかをしっかり確認することも重要です。
胸痛以外の症状で受診する方が多いことも、狭心症かどうか判断がつきづらいことの原因の1つです。
もし気になる症状があるときは、かかりつけ医や循環器内科など、お近くの医療機関へ相談することをおすすめします。