心房細動が原因で発症する脳梗塞は重症化する危険性が高いとされていますが、心房細動を持つ全ての人が脳梗塞を発症しやすいというわけではありません。
なりやすい人、なりにくい人の特徴があるのです。
今回は、心房細動を持つ人のなかでも脳梗塞になりやすいといわれる人の特徴と、自分が当てはまるかどうかの確認方法であるCHASDS2スコアのご紹介をします。
脳梗塞の危険因子とは?
心房細動をもつ患者様は他にも病気を持っていらっしゃる方が多く、そのなかでも危険因子と呼ばれる病気がいくつかあり、当てはまる病気が多い方ほど脳梗塞を発症しやすいと言われています。
それでは、どんな病気・症状が危険因子になるのでしょうか?
これまでの医学研究において、心房細動で脳梗塞になりやすい方にはこのような特徴があります。
- 心不全のある人
- 高血圧のある人、もしくは治療中の人
- 75歳以上の人
- 糖尿病のある人、もしくは治療中の人
- これまでに脳梗塞あるいは一過性脳虚血発作(TIA)にかかったことのある人
以上のような危険因子が全くない心房細動の方は、脳梗塞になる確率は極めて低いと考えられています。
では、当てはまる方の中で自分がどれほどの危険因子を持っているのか、CHASDS2スコアで見ていきましょう。
CHASDS2スコアで自分の点数を確認しよう
CHASDS2スコアとは
「CHASDS2」という言葉は、危険因子の頭文字に由来しています。
うっ血性心不全(Congestive Heart Failure)
高血圧(Hypertension)
75歳以上(Age≧75)
糖尿病(Diabetes Mellitus)
脳卒中か一過性脳虚血発作(Stroke/TIA)
CHASDS2スコアと呼ばれる危険因子ごとに割り振られる点数のことを指します。
自分に当てはまる危険因子の点数を足すことで、その合計点数から1年間に脳梗塞を発症する確率を予想することができます。(あくまでも心房細動を有する方であることが前提です)
CHASDS2スコア表
1点:心不全のある人
1点:高血圧のある人、もしくは治療中の人
1点:75歳以上の人
1点:糖尿病のある人、もしくは治療中の人
2点:これまでに脳梗塞あるいは一過性脳虚血発作(TIA)にかかったことのある人
1年間あたりの脳卒中の発症率
0点:1.9%
1点:2.8%
2点:4.0%
3点:5.9%
4点:8.5%
5点:12.5%
6点:18.2%
あなたは何点でしたか?
これは1年間の予想発症率なので、3年間・5年間などのスパンで考える際には、上記の点数にあたる%を3倍・5倍にしてみるとおおよその数字が分かります。
例)77歳で高血圧の方(心房細動を有する)
<CHASDS2スコア:2点>
・1年間の発症率:4%
・3年間の発症率:12%
・5年間の発症率:20%
ご自身の点数と予想発症率を一度確認してみましょう!
CHASDS2スコアが1点以上の方と65歳以上の方は予防策を!
心房細動を有する方でCHASDS2スコアが1点以上、つまり1つでも当てはまる方は積極的な脳梗塞対策が必要とされています。
心房細動によって引き起こされる脳梗塞は重症化しやすいという点、スコアが1点の方でも1年間に2.8%の確率で脳梗塞を発症するという点、脳梗塞予防のお薬の開発で予防対策が可能になった点などが、予防を勧める理由として挙げられています。
また、スコアが0点の方においても、65歳以上の方は脳梗塞の確率が少しずつ増加してくるためこちらも積極的な脳梗塞対策をおすすめしています。
脳梗塞の発症率は、発作性心房細動でも、慢性心房細動でも違いはありません。
CHASDS2スコアを参考に、脳梗塞を未然に防げるよう予防をしていきましょう。
CHASDS2スコアはあくまでも自己診断になります。
少しでも不安のある方や危険因子に含まれていない持病をお持ちの方などは、担当医・専門医にご相談の上でご対応ください。