「心房細動であると診断され、どのような病気か知っておきたい」
「不整脈と診断され、不整脈の種類について調べている」
本記事では、こういった方に向けて心房細動についての解説を行います。
心房細動になった場合、どのような症状が出て、どのような治療を行うのかなど、正しく理解していただければ幸いです。
心房細動とは?どんな症状が出るのか解説
心房細動は、心臓の4つの部屋のうち、上2つの「心房」と呼ばれる部分で電気信号が乱れる病気であり、不整脈の一種です。
心臓は通常、心臓内で生み出される電気信号によって規則正しく動くようにコントロールされています。しかし、心房細動が生じると心房がけいれんしたように震えてしまい、脈が不規則に速くなってしまうのです。
心房細動に罹ると、動悸・めまい・息苦しさ・脱力感・胸部不快感などが症状として現れますが、中には無自覚の方も多く、約50%の方は無自覚であると言われています。
しかし、心房細動は放置していると、血栓ができやすく、その血栓が脳の血管を塞いでしまうと脳梗塞を発症します。健康診断などで不整脈を指摘されても自覚症状が無い場合、放置してしまう方もいますが、不整脈が原因で別の病気を発症することもあるため、「自覚症状がないから」「医療機関への受診が面倒だから」と再検査を先延ばしにするのはお勧めできません。
さらに、心房細動は発作持続時間によって、「発作性」「持続性」「長期持続性」の3種類に分けられます。心房細動の患者さんの半数は発作性心房細動であり、発症から7日以内に正常な脈に戻ることが多いですが、元に戻るからと言って放置しても大丈夫ということではありません。
放っておくと進行し、塞栓症や脳血管疾患の合併症を引き起こす可能性が高まりますので、注意が必要です。
心房細動になりやすい人
心房細動は加齢によって発症のリスクが上がるため、誰でも、年齢を重ねるにつれて発症する確率は上がってしまいます。
年齢の他には、高血圧や糖尿病を患っている方、過度の飲酒や喫煙などの習慣がある方などは心房細動発症のリスクが高くなるとされています。さらに、弁膜症や狭心症、心不全など心臓に関わる病気を抱えている方も発症リスクは高くなる傾向があります。
心房細動かどうかを確かめるには?【検査内容解説】
心房細動の診断は、脈の乱れを確認することが重要です。
「一度検査して異常が見つからなかったけど、心房細動の症状に当てはまる」という場合は、定期的に検査を受けると、心房細動であることを確認できる可能性があります。
心房細動か否かを見極めるには次のような検査を実施します。
- 誘導心電図検査
- ホルター心電図検査
- 心エコー検査
誘導心電図検査
横になった状態で10カ所に電極を貼り、心電図を記録します。健康診断などで行う一般的な心電図検査よりも、「身体に張り付けるモノが多い心電図検査」と思っていただければ、イメージしやすいかもしれません。
ホルター心電図検査
ホルター心電図は24時間分の心電図が記録できる装置です。発作性心房細動が疑われる場合、誘導心電図検査だけでは検出されにくいため24時間分の心電図を記録して解析し、異常を探します。24時間以上記録することもできます。
心エコー検査
心臓の大きさ・形・弁や血流の動きを確認する検査です。
心房細動の治療
最後に心房細動の治療について解説します。
心房細動の治療は、根治をせず、上手くコントロールしながら付き合っていく方法(レートコントロール)と、根治を目指す方法(リズムコントロール)の2つの方針があります。
それぞれに薬物療法と非薬物療法がありますが、レートコントロールでは、主に薬物療法が選択されることが多いです。
リズムコントロールの場合も薬物療法を用いることもありますが、カテーテルアブレーションと呼ばれるカテーテル手術を選択する場合もあります。カテーテルアブレーションは、身体への負担が少なく、短い入院日数で済むうえ、根治が目指せる治療法の1つであることから、病状によっては選択されることが多い治療法です。
まとめ
今回は心房細動について、その原因や症状、治療法などを解説しました。心房細動は不整脈の一種であり、自覚症状がない事も珍しくないため、指摘されても危機感を抱かない方も多いのではないでしょうか。
しかし、脳梗塞など命の危険を伴う合併症のリスクもあることから、放置することは決してお勧めできません。
健康診断などで、不整脈が疑われた場合や気になる自覚症状がある場合は、一度、医療機関へ相談されることをおすすめします。
不整脈の治療に関しては循環器内科が専門です。
どこを受診すべきか迷っている場合は、循環器内科を中心に医療機関を選びましょう。