今回は、心不全の治療に関する疑問に回答します。
心不全を患うと、担当医から「塩分を控えた食事を心がけましょう」と言われることがあるでしょう。
この記事を読んでいるあなたも「担当医から塩分についての指摘をされたから」という理由で塩分制限の理由を調べているかもしれませんね。
塩分の摂りすぎは心臓に負担をかけるため、心不全の治療には適切な塩分制限が欠かせません。
心不全の治療に取り組む方の中には、その理由までキッチリと理解していた方が続けやすいと感じる方もいるでしょう。
そこでこの記事では、心不全の治療に塩分制限が欠かせない理由と身体の仕組みについて解説するとともに、減塩のコツや日常生活において、心臓の負担を軽減するポイントなどを解説します。
本記事を読み、心不全と減塩の関係についてしっかりと理解しましょう。
心不全になると塩分制限が必要なのはなぜ?理由を分かりやすく解説
まずは、心不全になったとき「塩分を控えてください」と言われる理由から解説します。
普段の食事には、食塩が含まれています。
そして、食塩の主な構成要素はナトリウムというミネラルの一種です。
ミネラルと聞くと「体に良いもの」という印象もあるかもしれませんが、心臓病の方には十分に注意が必要です。
ナトリウムは、人の体内で水分調整に関わっていますが、普段は一定の濃度に保たれています。
塩分の摂りすぎなどでナトリウムの量が増えると人の体は水分量を増やし、濃度を下げるように働きます。
つまり、日常的に塩分が多すぎる食事をとっていると、血液量が増えることになります。
心臓は血液を押し出すポンプの役割をしていますから、血液量が増えると、当然心臓の負担も増すという仕組みです。
心臓に何らかの疾患を持っている場合、できるだけ心臓の負担を軽くする必要があるため、塩分の多い食事は控えてくださいと指導することが多いというわけです。
主な食品の塩分量と減塩のコツ
続いて、普段の食事で塩分を控えたい場合、どのようなポイントに気をつけるべきか6つのポイントを挙げて解説します。
- だしの風味を活かし、調味料を減らす
- 調味料は「つける」を意識
- 加工食品、インスタント食品は控える
- ラーメンスープは飲まない
- 旬の食材を使う
- 酢やレモンなど酸味で物足りなさをカバー
上記6つが普段の食事で意識して欲しいポイントです。
特にコンビニやスーパーの総菜などは濃いめの味付けがされていることが多いため、注意が必要です。
とはいえ、最近のコンビニには塩分や糖質の分量がわかりやすく記載されている商品も増えてきていますので、普段から意識してチェックするように心がけましょう。
しかしながら、普段から濃いめの味付けに慣れている場合、自分自身の食事が濃い味付けである自覚もないかもしれません。
以下に食品の塩分量をいくつか記載しますので、ご自身が食べている食品や料理がどの程度の塩分量なのかを確かめてみましょう。
食品 | 塩分量 |
---|---|
梅干し1個 | 塩分2g |
白菜キムチ40g | 塩分1g |
あじの開き1枚70g | 塩分2g |
ソーセージ2本 | 塩分1g |
かけそば1杯 | 塩分5g(汁全量摂取) |
カレーライス1人前 | 塩分4g |
心臓に負担をかけない日常生活のポイント3選
最後に日常生活において、心臓に負担をかけないためのポイントを解説します。
今回は、次の3点に分けて解説していきますので、それぞれしっかりと日常生活に活かしていきましょう。
- 体調管理と飲酒・喫煙
- 運動
- 入浴
体調管理と飲酒・喫煙
風邪をひいたり、ストレスや疲れが溜まっていたりする状態では心臓の負担が増えてしまいます。
また、肥満やむくみも心臓の負担が増大する要因の1つです。
塩分制限に加え、食べ過ぎにも注意しましょう。
さらに、多量の飲酒や喫煙も心臓に負担をかけます。
特に喫煙は非常に有害ですから、禁煙をするべきと言えるでしょう。
とはいえ、長年の習慣をいきなり変えるのは難しいと感じる方もいるかもしれません。
禁煙や塩分制限など、1人で頑張るのが大変という場合は、担当医に相談のうえ、禁煙外来や栄養指導などを活用するのも1つの方法です。
運動
心不全が悪化した場合、運動制限を行うこともあり得ます。
しかしながら、心臓の状態に合わせた適度な運動は、健康を維持するための大切な生活習慣の1つでもあります。
過度な運動制限はむしろ心肺機能の低下に繋がってしまうため、担当医と相談しながら、適度な運動習慣を継続していくのが理想的と言えるでしょう。
入浴
入浴はリラックス効果も期待できるため、注意事項を守ったうえでうまく活用していくと、ストレス軽減にもつながるのでおすすめです。
心臓に負担をかけにくい入浴方法として次のポイントを意識しましょう。
- お湯の温度は42度未満
- 湯船に浸かるのは10分以内
- 肩で浸からず、胸あたりまで
- 脱衣場、浴室、湯船の温度差をできるだけなくす
特に冬場はヒートショックなどの危険もあるため、温度差には注意して入浴することをお勧めします。
まとめ
今回は心不全の治療の一環として塩分制限が必要な理由を中心に解説しました。
軽度の心不全であれば、少し健康的な習慣を取り入れるだけで日常生活が送れる場合も多いです。
担当医と相談し、心臓の状態に合わせて、適切な治療を進めていきましょう。
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