心臓病の治療について知る

【脳梗塞を引き起こす】心房細動とは?そのリスクと治療法を解説

脳梗塞の約30%は心臓病が原因

頭を抱える高齢男性の写真

「あなたは、心臓が原因で起こる脳梗塞をご存じでしょうか?」

脳梗塞は脳に重い障害が残り、最悪の場合死に至ることもある病気です。

この脳梗塞ですが、約30%は心房細動という心臓病が原因で起こっています。
心臓が原因で起こる脳梗塞をノックアウト型脳梗塞(心原性脳塞栓症)と呼びます。

心原性脳塞栓症は、脳梗塞の中でも重症化しやすく、死亡率が高いと言われています。

今回は、脳梗塞の原因となる心房細動について紹介し、その予防策を解説します!

脳梗塞の原因となる「心房細動」とは?

心房細動は、不整脈の1つです。

心房細動とは、心臓の中の血液を貯める部分である「心房」が、電気的な異常により細かく震えてしまっている状態のことを指します。

通常、心臓は1分間に60~100回程度のリズムで動いています。
ところが心房細動では、1分間に400~600回の速さで心房が細かく震えるように動きます。

心房細動が起こると、心臓の中で血液の流れが滞り、血液のかたまり(血栓)ができやすくなります。この血栓が血流によって脳に運ばれると、脳の血管が詰まって脳梗塞を引き起こします。

心房細動は症状が現れない人も多い

心房細動の主な症状としては、次のようなものがあります。

  • 脈が飛ぶ
  • 動悸がする
  • 胸の痛み、苦しさがある
  • めまい

しかしながら、症状が現れない人も多く、心房細動のある人の約半数は症状を訴えません。

心房細動の方は、症状が出ていなくても、血栓ができて脳に運ばれる可能性があります。
よって症状の有無にかかわらず、脳梗塞になるリスクはあると考えるべきです。

とにかく、心房細動をいち早く見つけることが脳梗塞の予防につながります!

心房細動の早期発見方法

脈を測る

指で脈を測る写真

心房細動は不整脈の一種であるため、まずは脈を測ることで簡易的にセルフチェックすることができます。

・「トン、トン、トン」と規則正しいリズムであれば問題ありません。
・「トン、トン、トトトッ」など、不規則なリズムだった場合、心房細動の疑いがあります。

検査を受ける

聴診器の写真

自覚症状や脈のセルフチェックで心房細動が疑われる場合には、医療機関を受診して、「心電図検査」や「心エコー検査」を受けます。

「心電図検査」では、心房細動の状態が長時間続く持続性心房細動を見つけることができます。

ただし、心房細動の状態が時々しか起こらない発作性心房細動は見つけることが難しいため、必要に応じて「24時間ホルター心電計」での測定を行います。

「心エコー検査」は、胸に超音波を当てて心臓内の血液の流れを見る検査です。
検査を希望する場合は、まず医療機関を受診し医師に相談されることをお勧めします。

心房細動になった方の脳梗塞のリスク

心房細動が見つかった場合は脳梗塞が発症しないよう、専門医の指示を受け、治療を行っていきましょう。
心房細動がある人は、ない人に比べて脳梗塞が約5倍起こりやすくなります。

次のような方は脳梗塞になるリスクが高いといえます。

  • 心不全の方
  • 高血圧の方
  • 高齢者の方
  • 糖尿病の方
  • 脳梗塞になったことがある方

上記に当てはまる方は、心房細動の治療と合わせて生活習慣の改善や持病の治療を心がけましょう。

脳梗塞を予防するための心房細動の治療

医師の手の写真

心房細動の治療には、「血栓ができないようにする治療」と「心房細動を軽減するための治療」があります。

血栓ができないようにする治療

抗凝固薬」を服用して心房で血栓をできにくくする治療です。

抗凝固薬には複数の種類があるので、専門医と相談して続けやすい薬を選ぶとよいでしょう。

心房細動を軽減するための治療

心房細動を軽減する治療には「薬物治療」と「カテーテル・アブレーション」があります。

「薬物治療」は、抗不整脈薬を服用することで、心房で起こる異常な電気を抑え、発作を起こりにくくさせる効果があります。

ただし、抗不整脈薬は症状の緩和が目的であり、完全に心房細動を予防することはできません。

「カテーテル・アブレーション」は、異常な電気興奮が発生する部位にカテーテルの先端を当て、高周波電流で焼く治療です。

この治療が成功すれば、心房細動を完治させることができます。

早期発見・早期治療がなにより大切です

今回は、心臓の病気が脳梗塞の原因となることを解説しました。

心臓病になるとかかりやすくなる病気は他にもいろいろあります。

合併症を起こさないためにも、心臓病は早期発見・早期治療が大切であることを心に留めておきましょう!

心臓血管研究所の看板の写真

気になる症状がみられたら

気になる症状がある場合は、
早めの受診をおすすめします。

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