日本人の死因第2位を占める「心疾患」
日本人の死因において「がん」に次いで多い病気をご存じでしょうか?
それは「心疾患」です。
心疾患とは、心臓に起こる病気の総称になります。
心疾患の恐ろしいところは、ある日突然命を落とすことが少なくないという点です。
気づかないうちに心疾患が進行している可能性があります。
よって、心臓に異常がないか定期的に検査しておくことが必要です。
健康診断で心臓の異常を診る項目は?
職場などで実施される健康診断の項目の一つに「心電図検査」があります。
心電図検査は、一般的な健康診断における項目の中で、唯一心臓自体の状態を診ることができる検査です。
では、心電図検査によってどのような病気を見つけられるかをご存じでしょうか?
心電図検査とは
心臓は、ポンプのように収縮と拡張を繰り返すことで全身に血液を送り出しています。
この動作を拍動といい、拍動は心臓自身が生み出す電気刺激による筋肉収縮によって行われます。
この電気信号を測定し、波形として記録するのが心電図検査です。
診断では、測定した心電図から、波形の形、大きさ、リズムを見て異常がないか判定します。
心電図検査で見つかる病気
心電図検査では、「不整脈」や「虚血性心疾患」といった心疾患の発見に役立ちます。
不整脈
不整脈は、脈のリズムが速い、遅いまたは不規則である状態を指します。
しかしながら、不整脈には多種多様なものがあり、全く心配のない生理的なものから命に悪影響を及ぼすものまでが含まれます。
よって、健康診断の心電図検査で不整脈と言われた方は、どのような種類の不整脈かを聞いておくこと、循環器専門医を受診してきちんと診てもらうことが必要です。
虚血性心疾患
虚血性心疾患は、心臓のまわりを通っている冠動脈という血管が狭まったり(狭窄)閉じたり(閉塞)して心臓の筋肉(心筋)への血流が悪くなり、十分な血液が供給されなくなる病気です。
心臓が酸素欠乏に陥る「狭心症」と、血管が詰まって心臓の一部が動かなくなる「心筋梗塞」に分けられます。
狭心症の発作や心筋梗塞が起こっているときは、心筋の電気的活動にも異常が生じるため、心電図検査での発見が可能となります。
なお、虚血性心疾患の主な症状としては、胸の痛みや圧迫感、場合によっては息切れや胸焼けとして感じることがあります。
心電図検査で虚血性心疾患の疑いを指摘された方、または上記のような症状を感じる場合はお早めに医療機関を受診ください。
心電図検査で発見できない心臓の病気
心電図では心臓の動きを確認できますが、「心臓の形」を見ることはできません。
よって、心臓の形の異常(構造的心疾患)である「心筋症」や「弁膜症」の発見は、心電図検査では困難です。
これらの病気は形を見ることが得意な「心臓エコー検査」や「冠動脈CT検査」といった画像検査が有効となります。
しかしながら、心電図の異常をきっかけに精密検査を行い、構造的心疾患が見つかることもあります。よって、心電図異常を指摘されたら、他にも病気が潜んでいるかもしれないと思って精密検査を受けることが大切です。
心電図検査で「異常」や「要観察」と指摘されたら
心電図では、「正常波形」とされている波形があり、それに当てはまらなければ「異常」と判定されます。
ただし、異常波形が必ずしも心臓の病気を確定するものではありません。
健康な人に見られる所見もたくさんあります。
健康診断は、最も簡易的な検査によって、その人が二次検査(精密検査)を必要とするかどうかをふるい分けるものです。 よって、異常所見を指摘された場合は、精密検査が必要かどうか、他に重大な病気が隠れていないかを確認するために、まずは循環器科を受診ください。
なお、他の検査の所見や問診などから総合的に「要観察」とされた場合、二次検査は基本的には受けなくても大丈夫ですが、不安な場合は精密検査を受けることをおすすめします。
身体の異変を感じたら早めに医療機関を受診しましょう
毎年の健診で受けている心電図検査は、心疾患を見つけるきっかけとなる大切な検査です。
検査結果は意識して確認するようにしましょう。
なお、心電図検査のみで心臓の状態や病気の有無が全てわかるわけではないので、結果が良好でも、身体の異変を感じた際はお早めに循環器専門医にご相談ください。