あなたは「心臓の検査」と聞くとどんな検査を思い浮かべますか?
「心臓の検査」と聞くと、精密機器での1日がかりの検査を想像する方も多いかもしれませんが、聴診やなどの一般の健康診断や医師の診察に含まれるものもあります。
「今まで何となく健診結果を聞いていた」
「自分に心臓病のリスクがどれくらいあるのか気になる」
そんなあなたは、まずは心臓の検査の種類からどんなことが分かるのかを理解することからはじめてみましょう。
健康診断・定期検診などで行う心臓・血管に関する検査
4月以降は健康診断を受診する方が増える時期です。
健康診断で行う検査のなかで、心臓・血管に関する代表的なものをご紹介します。
- 聴診
- 血圧測定
- エックス線検査
- 心電図検査
- 血液検査
どうでしょうか?どれも聞き覚えのある検査名ですよね。
それでは、これらの検査でどんなことを確認しているのでしょうか?
一つ一つ見ていきましょう。
1. 聴診
聴診器を胸に当て、心臓の拍動や血液の流れる音、弁の開閉の音や雑音などをチェックします。
心雑音の有無とその度合いから、弁膜症などの可能性が無いかを確認することができます。
3. 血圧測定
心臓や血管の病気の危険因子である血圧を測ります。
高血圧の方は、それだけ心臓・血管の病気を発症するリスクが高いため、医師の定期的な検査・診察が重要になります。
4. エックス線検査
エックス線では、透過しにくい心臓や骨は白く映り、透過しやすい肺は黒く映ります。そのため、心臓の大きさや輪郭、大動脈や肺動脈の状況、肺のうっ血や胸水の有無などの様子が確認できます。
エックス線写真で心臓の大きさが大きい時は心臓弁膜症や心筋症などの病気が、肺うっ血が見られる時には心不全などの状態が考えられます。
5. 心電図検査
心電図検査では、体の表面に電極をつけて、心電図の波形に異常がないかを調べます。
拍動のリズムや拍動を促す刺激伝導系の異常、心筋の虚血、心肥大などが波形から分かります。
ただし、短い時間の検査なのでたまにしか起こらない不整脈や狭心症などは確認が難しいです。症状によって追加の検査で詳しく調べていきます。
6. 血液検査
血液検査は、心筋の細胞が壊れると血液に出てくる酵素を確認したり、心不全の状態を示すホルモン(BNPビーエヌピー)を確認したりします。
以上が、健康診断や医師の診察などで行われる基本的な検査です。
基本検査を定期的に受けることで、症状が出る前に予防したり拡大するのを防いだりすることができます。
精密機器による心臓検査
心臓について、更に詳しい検査を行う時にはどんな検査があるのでしょうか?
代表的な検査をいくつかご紹介します。
- ホルター心電図
- イベント型心電計
- 運動負荷心電図
- 超音波(エコー)検査
- CT検査
- MRI検査
- シンチグラフィー
- 心臓カテーテル検査
「名前は聞いたことあるけれど実際に受けたことがない」
「どんな検査かピンとこない」
そんな方も多くいらっしゃると思います。
こちらについても、一つ一つ確認していきましょう。
1. ホルター心電図
携帯型の記録機を用いて、胸に電極を貼り24時間続けて心電図をとる検査です。
24時間計測することで、睡眠中や生活の中での異常や発作を把握することができます。
2.イベント型心電計
同じく携帯型の記録機であるイベント型心電計では、症状が出た時に自分でボタンを押してピンポイントで記録することができます。
不整脈や狭心症などのたまにしか起こらない症状を確認する際にこの検査を行います。
3. 運動負荷心電図
検査で軽い運動をして心電図をとり、体を動かした時にどんな異常や発作が見られるかを調べます。狭心症の有無を把握することができます。
4. 超音波(エコー)検査
人間が聞くことのできない高い周波数の音波の反射を利用して、体の表面から心臓の形や動き、心臓機能を計測し、弁膜症を診断します。
5. CT検査
エックス線で体を輪切りの断面画像にします。
三次元の立体表示にすることも可能なため、通常の胸部エックス線写真では把握できない冠動脈などの心臓の細部を確認できます。
6. MRI検査
磁気を利用して身体の断面を縦・横・斜めなど、様々な方向で撮影ができます。
造影剤で血管を調べることも可能です。
磁気を用いるため、タトゥーが入っている方はMRI検査を受けることができません。ご注意ください。
7. シンチグラフィー
特定の組織に取り込まれる性質を持つ放射性医薬品を注射し、特殊なカメラで心筋(心筋シンチグラフィー)や肺の血流(肺血流シンチグラフィー)などを撮影する検査です。
8. 心臓カテーテル検査
足の付け根や腕・手首の血管から、心臓の内部や冠動脈に「カテーテル」という柔らかな細い管を送り込んで行う検査です。
血管にかかる内圧や弁の前後の圧の差や、血管のつまり具合を調べることができます。また、更なる詳しい検査のためにも心筋の組織の一部を採取することもあります。
定期的な検査と詳しい検査で、自分の症状を把握しておきましょう
健康診断で「再検査」「要精密検査」と診断された方や、定期検査や医師の通常の診察で異常が確認された方は、以上のような詳しい検査を受けることがあります。
突然「次の検査で詳しい検査をしましょう」と検査名を告げられると、驚いてしまったり不安になってしまったりするかもしれません。
あくまで「異常が無いか、病気が無いか」を確認するための検査です。
勧められた時にはきちんと受診し、ご自身の現在のお身体の状態や症状を把握することが重要です。
また、前述の通り精密検査ではなくとも、健康診断や定期検診で基本的なチェックが可能です。
定期的な検診に加えて、必要に応じてかかりつけ医や専門医を受診し、症状の悪化を抑えましょう。