RI検査

目的

心筋虚血評価、心筋梗塞評価、心機能評価、心不全評価および肺血流評価などです。

原理

放射性同位元素(RI:Radio Isotope)を標識した放射性医薬品を投与して目的とする臓器や組織に集積させます。
その部位からの放射線をガンマカメラで検出してコンピュータ処理を施し、集積の度合いを画像化します。

心研のRI検査

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検査使用RI医薬品
心筋 血流 201TlCl、99mTc-MIBI、99mTc-TF
脂肪酸代謝 123I-BMIPP
心アミロイドーシス 99mTc-PYP
心臓交感神経機能(心不全評価) 123I-MIBG
肺血流 99mTc-MAA
腫瘍・炎症・心サルコイドーシス 67Ga-citrate
レノグラム(腎機能) 99mTc-MAG3
99mTc-HMDP、99mTc-MDP

検査の割合は、201TlClを用いた運動負荷心筋血流が約61%、薬剤負荷心筋血流が約24%心臓交感神経機能(心不全評価)が約7.6%(2017年4月~2018年3月)。
2011年2月、新病院移転と共に吸収補正用CT付きSPECT/CT装置を導入し、心筋の検査では体の深部から出てくる放射線の減衰を補正でき、腫瘍の検査ではRI画像とCT画像の重ね合わせにより位置情報が明確になり、診断精度の向上が図れるようになりました。

方法

1.負荷心筋血流シンチグラフィ(201TlCl)

運動負荷やAdenosine薬剤負荷中に、RIを静脈注射して心筋各部への血流量をRIの集積度合いで評価します。安静時と比較することにより、負荷時の心筋虚血や梗塞の程度を調べます。心電図と同期を取って撮像することで、心機能評価も可能です。
201TlClを用いた負荷心筋血流シンチグラフィは、負荷時に虚血を示した心筋部にViability(心筋生存能)がある場合、正常な心筋部との201TlClの集積差は時間経過によって小さくなる(再分布Redistribution現象)。一方、負荷直後、約4時間後のいずれも集積が低下している部位は心筋が梗塞に陥っていると考えられます。

201TlClによる心筋虚血と梗塞の鑑別

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RIの集積度合い所見(心筋への血流量)
負荷直後 負荷4時間後(安静)  
集積有り 集積有り 正常
低下~欠損 改善~集積有り(再分布) 負荷によって誘発された虚血
欠損 欠損 梗塞

201TlClを用いた負荷心筋血流シンチグラフィは、虚血の存在診断において、感度80~90%程度、特異度約70~95%程度と言われています(心臓核医学検査ガイドライン JCS2005)。
有意な冠動脈狭窄のない冠攣縮性狭心症(VSA)においては、運動負荷心筋血流シンチグラフィで約50%が心筋虚血陽性となるという報告があります。

2.gate SPECT(99mTc-MIBI)

心機能評価が主目的であれば、半減期が短く高放射能を投与できる99mTc心筋血流製剤を使用し、より精度の高い心機能評価が可能です。

上段のグラフは、心筋局所の左室容積曲線で、下段のグラフはその変化率を示しています。
心筋の極座標表示で17分割した各領域の心機能評価を行っています。数字の□に印(☑)のある領域について容積曲線を表示し、領域と曲線の色が対応しています。左室の総合的な容積曲線は黒線で示してあります。
※EFの値は、解析を行うソフトウェアにより異なります。

3.心筋脂肪酸代謝シンチグラフィ(201TlCl+123I-BMIPP)

心筋脂肪酸代謝シンチグラフィは、脂肪酸代謝の状態を調べることで、血流異常は消失しているが虚血性代謝障害が残存している心筋、軽度な負荷で虚血を生じる重症の狭心症、冠攣縮性狭心症(VSA)の診断などに有用です。冠攣縮の検出感度は約70%との報告があるが、検査は発症後できるだけ早期に施行した方が良いです(3日以内)。

4.ピロリン酸シンチグラフィー(201TlCl+99mTc-PYP)

心アミロイドーシス診断目的で行います。ただし、心筋に沈着するアミロイド蛋白の種類によってPYPの集積度が異なるという報告があり、心筋生検で陽性であってもピロリン酸シンチグラフィで必ずしも集積があるとは限りません。

5. 心臓交感神経機能シンチグラフィ(心不全評価)

慢性心不全の病態に大きく関与する心臓交感神経機能を画像化し早期像H(Heart)/M(Mediastinum)比、後期像H/M比及び、Washout rate(WR)の定量指標より心不全の重症度や予後評価に有用です。

正常例では早期像、後期像ともにH/M比が正常参考値を上回っておりMIBGが心筋に取込まれていることが分かります。
また、Washout rateは低く後期像でもMIBGが保持されています。心不全例では心筋への取込みが少なく、Washout rateが高くターンオーバーが亢進しています。

6.Gaシンチグラフィ

RI(67Ga-citrate)の腫瘍、炎症への異常集積を調べます。サルコイドーシスでは、心臓、縦隔リンパ節への集積が高くなります。

その他

肺血流シンチグラフィ:RIを肺の血管にとどまらせ、肺の血流状態を診て、肺塞栓、肺高血圧症などを調べます。
骨シンチグラフィ:RIの骨への集積度合いを診て、がんの骨転移など骨の状態が変化している部分を調べます。
レノグラム:RIの腎臓への取り込み、排泄の様子を経時的に観察し、腎臓の機能を調べます。

注意事項

放射線の影響は、放射線治療の成績や多くの動物実験から国際放射線防護委員会(ICRP)により詳細な検討が行われています。
RI医薬品はこの検討に基づき検査に使用する種類や量が決められており、短時間で崩壊して数日で消滅するもの、体外に早く排泄されるもの、低い放射能で良い画像が得られるものが使用されています。

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