不整脈

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Q不整脈は危険な病気ですか?

 不整脈とは、脈が不規則であることをすべて総称的に表した用語です。不整脈には多種多様のものが含まれており、正確な診断名とはいえません。不整脈の中には全く心配がなく放置して良いものから、命に悪影響を及ぼすものまでが含まれています。したがって不整脈がすべて危険な病気と考える必要はありません。不整脈の種類の診断は、不整脈が生じている時の心電図検査を行うことによって下すことができますが、いつも不整脈が生じているとは限りませんので通常の12誘導心電図では分からないこともたびたびあります。その意味で、健康診断などで不整脈と言われた方は、どのような種類の不整脈かを聞いておくこと、あるいは循環器専門医を受診してきちんと診断してもらうことが必要です。

Q不整脈の原因にはどのようなものがありますか?

 不整脈の原因にはさまざまなものがありますが、重要なことは不整脈の原因となる他の心臓の病気があるかないかということです。これらは、心臓超音波検査、運動負荷心電図検査、採血データなどから、全般的にみて診断する必要があります。不整脈の原因となる病気がある場合には、不整脈自身よりむしろその原因となる病気の治療やコントロールが重要です。他に病気のない場合には、睡眠不足、ストレス、アルコール、たばこなどが、不整脈を誘発しやすくすることが知られています。不整脈が気になる方はこれらに関連するライフスタイルの是正に努めるようにしましょう。

Q不整脈らしい症状はあるのですが、なかなかその時の心電図を記録できず、診断してもらえないのですがどうすればいいですか?

 不整脈の診断は心電図を記録することにつきますが、頻度が少なくなかなか記録できないこともあります。24時間ホルター心電図検査はこのような目的で、24時間中心電図を記録し続けるものです。しかし、記録した当日には不整脈が生じないこともあります。その時には「携帯型心電図計」という機械を用います。この機械は患者さん自身が心電図を記録するもので、症状のある時に機械を胸に当てればその時の心電図が記録されます。当院でも患者さんにこの機械の貸し出しを行っています。また、最近では薬局で販売されていますのでご自身でご購入になり、使用されている方もおられます。

Q期外収縮とはなんですか?

 期外収縮は、1,2拍だけ正常とは異なるタイミングで生じる一瞬の不整脈のことをいいます。この期外収縮は健康な人にもあり、多くは無害のものですが、中にはその他の心臓の病気が関連している場合もありますので、循環器内科を一度受診して他の心臓の病気があるかないかを診断してもらうことをお勧めします。心臓に期外収縮以外の異常がない場合には、無害なものなので症状のない限り治療は不要であると考えられています。普段の生活や食生活でも制限はありません。

Q上室頻拍と診断されましたが、治療法はどのようなものがありますか?

 上室頻拍は期外収縮とは異なり、突然脈が150/分以上持続し、ある一定の時間ののち突然止まるという不整脈です。患者さんの多くは、この突然始まってぴたっと停止することを自覚されていることが多いようです。この不整脈は基本的には命には別状ありませんが、患者さんは苦しくまた動悸からくる恐怖感を訴えられます。
 この病気は期外収縮とは異なり、通常治療の対象となる不整脈ですが、原因や治療法に様々なものがあり、患者さんの状態に応じて治療を行うことが一般的です。現在は90%以上の成功率でカテーテル治療によって根治することが可能です。また、それほど困っていないという患者さんでは、発作時に頓服薬を用いたり、カテーテル治療を受けたくないという患者さんでは抗不整脈薬で発作予防を行うこともありますが、この場合は継続的治療となるため薬物の副作用に注意することが必要です。

Qいつも脈が速いのですが、病気でしょうか?

 単純に脈が早いということだけでは心配はいらないと思います。正常でも脈は50~100/分と幅の広い範囲で変動しています。特に運動不足の方は、緊張や軽度の運動ですぐに脈が早くなる傾向があります。上に述べた範囲内であれば特に心配ありません。一方、安静にしていても脈が100/分以上である場合には、何か病気が隠れている場合もありますので精密検査をお勧めします。

Q洞性徐脈とはなんですか?

 洞性徐脈は安静時の心電図で脈が50/分未満のものをいいます。これはあくまでも心電図所見であって、病気とは限りません。特に症状のない場合は正常と考えて差し支えありません。健常者でもよく見られる所見です。

Q心房細動とはなんですか?

心房細動とは?

 健常な心臓は1分間に70回程度のポンプ活動を規則的に行っていますが、これは正常なペースメーカーがこの頻度で規則的な電気信号を心臓に送っているためです。心房細動はこのような正常な電気活動が乱されて、心臓の一部(心房)で電気信号が絶えまなくぐるぐると回っている状態です。この不整脈は心臓のポンプ機能には直接大きな影響を与えませんので、すぐに命に関わるようなことはありません。心房細動は年齢を重ねるに連れ増加し、60歳以下では全人口の1%以下ですが、60歳台では数%、70歳台では5%、80歳以上では10%以上が心房細動であるといわれています。

心房細動による症状

 心房細動では正常の脈と比べて、脈が不規則となり、またやや早くなります。このような不規則な心拍を「動悸」や「胸苦しい」といった形で自覚する人もいれば、全く自覚症状のない人もいます。はじめのうち、心房細動は発作として生じるので(発作性心房細動)症状が強い人が多いようです。しかし、発作の頻度が増えたり、心房細動が慢性的(慢性心房細動)になると症状がなくなってしまうこともあります。概して脈拍が早いので運動能力は低下することが多いと考えられています。このような運動能力の低下は「階段を昇る時の息切れ」などの症状であらわれます。

心房細動に伴うリスク

 症状がなければ心房細動は放っておいてよい病気なのでしょうか?それは違います。心房細動を放置することで生じるリスクが2つあります。心房細動は、心不全と脳梗塞という大きな病気の原因となることがあるのです。医師はこのような心房細動に伴うリスクと患者さんの症状を総合的に判断した上で、治療方針をたてています。症状がないからといって放置せず、医師によく御相談ください。

Q不整脈に効く薬はありますか?

 不整脈を予防したり、停止させたりする薬を抗不整脈薬と呼びます。現在、抗不整脈薬にはたくさんのものがあり、約20種類もの薬が不整脈を治療する目的で使われています。抗不整脈薬が他の薬剤と異なる点は、1種類の薬物で治療するのが基本であるという点です。高血圧、糖尿病などでは薬の効果が不十分な場合、他の薬剤をさらにあわせて服用して頂くことが多いのですが、抗不整脈薬は効果がない場合は他の全く異なる薬剤に変更することが基本です。

くすりの飲み方、注意点

 医師は不整脈の種類やその他の検査結果に基づいて、最良と考える薬剤を多くの薬剤の中から選んで処方しています。しかし実際に服薬する前にその効果を完全に予想することはできません。もし効果がない場合には、他の異なる薬剤に変更しなければならないでしょう。その判断のためには、実際に薬を飲んでから不整脈はどのようになったか、体調はどのようになったか、検査はどのようになったかなどを把握する必要があります。処方が開始された時にはきちんと服用した上で、体調を自分自身でもチェックするようにしましょう。不整脈は、血圧や血液検査のように数字では表せませんし、診察をしてもその時不整脈がなければ分かりません。
 不整脈の治療は、あなたと主治医の先生の協同作業が必要となります。

薬の副作用

 医師は安全と考える薬を選んでいますので、決められた通りに服用すれば心配することはありません。しかし、服用することを忘れたからといって1度に決められた以上の量を飲んだりすることは大変危険ですので絶対にしないでください。副作用は薬の種類によって異なりますが、口渇感(口のかわき)、便秘、尿が出にくくなるなどが原因で、かえって不整脈が出やすくなったり、めまいを起こすことまで様々なものがあります。もしこのような症状が気になる時には薬を飲むことを中止してすぐに主治医に相談して下さい。

Q心房細動に対し、薬以外の治療法はありますか?

除細動

 事前に経食道エコーを実施し、血栓がない場合に行われます
血栓がある場合には、血栓溶解治療を行った上で実施します。

心房細動に対するカテーテルアブレーション

 不整脈の起源を見つけて焼灼することで不整脈を治療します。 対象疾患はWPW 症候群・房室結節回帰性頻拍・心房粗動・心房細動・心房頻拍・心室頻拍です。心房細動に対するカテ-テルアブレーションが開始されてから10 年以上が経過し、現在では日本のガイドラインでも自覚症状を有する薬剤抵抗性心房細動に対する適応がClassⅠとして推奨されるようになりました。当院でも2006 年より心房細動に対するカテーテルアブレーションを開始し、現在まで1000 例以上を施行しております。心房細動に対するカテーテルアブレーションは個々の患者さんに応じて適応を決定しておりますので、適応に悩むような患者さんでも外来で相談しながら治療方針を検討します。
(心房細動に対するカテーテルアブレーションの適応)
 当院における心房細動のカテーテルアブレーションの基本的な適応基準としては、1)自覚症状の強い再発性の心房細動例、2)抗不整脈薬抵抗性心房細動例、3)75 歳以下、除外基準としては、1)自覚症状のない慢性心房細動例、2)左房拡大が著明な例、3)抗凝固薬の内服が不可能な症例としています。
(アブレーションの成功率と合併症)
 当院では4 本すべての肺静脈に対する個別拡大隔離術を行っていますが、ほぼ全例において4 本の肺静脈の隔離に成功しています。慢性期の再発に関しては20~ 30%程度であり、2 回目の治療が必要となる患者さんもいます。
 合併症に関しては 1)心タンポナーデ 2)塞栓症(脳梗塞等)などがあります。
(アブレーション治療前の準備)
 予約の都合上、治療まで1 ~ 2 ヶ月お待ちいただくこともございますが、カテーテルアブレーションの適応があれば術前に2 ~ 4 週間以上の抗凝固薬投与を行う必要があります。入院に関してはクリニカルパスを使用しており1 週間弱の入院期間で退院可能となります。入院後には経食道エコーにより左房内血栓の有無、3DCT にて肺静脈および左房の形態を確認します。
(アブレーション治療当日)
 カテーテルアブレーションに要する時間はおよそ2 〜 3 時間です。通常は静脈麻酔による鎮静を行いながら治療をするため、術中の疼痛等の負担は軽減されています。カテーテルアブレーションの具体的な方法としては、右内頚静脈、右大腿静脈に局所麻酔を行った後、右房内にカテーテルを進めます。心房中隔に卵円孔の開存がなければ、ブロッケンブロー法による心房中隔穿刺を行い左房にカテーテルを進めます。図のように上下の肺静脈にリング上カテーテルを留置し、このカテーテルの情報をもとに肺静脈周囲の焼灼を行っていきます。近年は3D マッピングシステムを利用して、透視時間が減少し、効率よく正確にカテーテルアブレーションが施行可能となってきています。最終的に4 本の肺静脈と左房との電気的な交通が途絶えたことを確認して治療は終了となります。治療終了後は止血のためベッド上で6 時間の安静を要します。
(アブレーション後の経過)
 アブレーション後の急性期(翌日から2 ヶ月くらいの間)は、一過性に期外収縮が増加したり、心房細動が再発したりすることがありますが、多くの場合は焼灼後の心房の炎症が原因であり時間とともに改善してきます。当院では術後1 ~ 2 ヶ月程度は抗不整脈薬を投与し、3 ヶ月後に再発の有無をチェックしています。抗凝固薬の投与は術後2 ~ 3 ヶ月間継続し、再発がなければ中止しています。
 心房細動に対するカテーテルアブレーションはすべての心房細動症例に対して確立された治療法とは言いがたいのが現状ですが、自覚症状が強い薬剤抵抗性心房細動の患者さんには非常によい適応があります。

アブレーションカテーテル 1-Map

2.重症心不全に対する心臓再同期治療(CRT:Cardiac Resynchronization Therapy )
 重症心不全に対するペースメーカーを用いた心臓再同期治療は保険認可され、当院でも施設認定を受け実施しております。再同期治療とは、右心室と左心室の収縮の時相のずれを無くすことで、心拍出量の増加を期待する治療です。どのような患者さんに効果が期待できるか、植込み前の検査が大事になります。当院でも年間20 数例の実施数があり、その効果が期待されます。
 下図のようにペースメーカーリードを右心室と冠静脈の分枝(左心室用)に挿入し、右心室と左心室を同時にペーシングすることで前述の効果を期待する治療です。

CRTの基本システム

Q脈が遅いと言われましたが、どのような不整脈でしょうか?

 一般的には正常安静時一分間の心拍数は50~80/分の範囲です。治療の対象となるのは脈が遅いため脳への血流が悪くなり、めまい、疲労感および失神などを症状とする洞機能不全症候群。さらに、同様の症状に加えて突然死も考えなくてはいけない房室ブロックが治療の対象になります。洞機能不全症候群や房室ブロックは徐脈性不整脈といわれます。もし上記症状があり、そのような病気と診断されたら治療が必要になります。症状がありながらもなかなか診断がつかない場合もあります。そのような時は24時間心電図(ホルター心電図)で症状に一致して、長い心停止、房室ブロックが見られれば診断がつきます。ただしなかなかそのような心電図が記録できない場合もあります。そのようなときには入院をして電気生理学的検査(EPS:Electro Physiological Study)で診断します。

Q洞機能不全症候群とはなんですか?

 人間の心臓の脈の速さを支配している場所を洞結節と言います。その場所の機能が悪くなったために起こる脈の異常を洞機能不全症候群と言います。めまいや失神を症状として伴う場合、それが証明されればペースメーカー治療が必要になることがあります。ただ、なかなか症状があってもそれが証明できない場合もあり、そのときには電気生理学的検査で診断します。当院では二泊三日でその検査をしています。右足の付け根の股静脈から細いカテーテルを心臓に留置して検査を行います。
オーバードライブ抑制試験
 これは電気生理学的検査の1例です。
 心臓を高頻度で刺激したあと心臓停止時間が異常に長くなるかどうかを検査します。症状と一致してこのような所見が得られたら後述するペースメーカー治療の適応になります。

Q房室ブロックとはなんですか?

 心臓の電気刺激系の中で心房と心室を連絡するつなぎ目に房室結節があります。
 その場所の伝導が何らかの理由で悪くなった時に房室ブロックと診断されます。様子観察でいい場合と治療が必要な場合があります。診断されたら一度専門医を受診してください。

完全房室ブロック

 この心電図は完全房室ブロック時の心電図の例です。赤い矢印が心房の興奮で黒い矢印が心室の興奮になります。心房と心室の興奮がばらばらに見えます。
 専門医の診断がつき、治療を勧められたらペースメーカーが必要となります。

Qペースメーカー治療とはなんですか?

 洞機能不全症候群や房室ブロックなどで脈が遅いために症状が出ている患者さんの治療法です。
 当院では年間約100人の患者さんにペースメーカー治療しています。入院日数は約1週間です。手術時間はだいたい60分です。以下に実際の植込み後のペースメーカーによって心臓を刺激されている心電図とレントゲン写真を示します。

ペースメーカー植え込み後心電図 ペースメーカー(AAI)植え込み後胸部X-P

 矢印が心房をページングしているペースメーカーの刺激です。

Q植え込み型除細動器とはなんですか?

 生命に危険を及ぼす恐れのある心室性不整脈に対する治療法のひとつです。
 心室頻拍や心室細動と呼ばれる不整脈が出現したときに体内に植え込まれたペースメーカーがそれを感知して、電気ショックや抗頻拍ページングをおこない出現した不整脈を停止させるように働きます。以下に実例をお示しします。

ICDによる心室細動の停止

 心室細動が発生しそれを機械が認識して電気ショックを出し不整脈を停止させています。このような働きが出来るペースメーカーをICD:Implantable Cardioverter Defibrillatorとよんでいます。